「規格外」という言葉の中二的意義を語りたい

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最近「規格外」という言葉をよく聞くようになった。
どうも「並外れ」「普通のレベルを越えて(すごい)」という意味で使われているようだ。
しかしこの使い方、ちょっともったいないと思うのだ。

 

日本人は「普通」であることを何より好むと言われているが、その一方で「普通じゃなくすごい」という概念も大好きらしい。

普通の状態から外れて優れていることを表す言葉は「並外れ」のほかに「けた違い」、「けた外れ」、「格別」、「抜群(群を抜く)」、「とてつもない」、「破格」、「非凡」などのように数多く存在している。

さらに「すごい」の要素を除外したニュートラルな「普通じゃない」か、もしくは逆にネガティブなニュアンスが強い「普通じゃなく良くない」状態として「ただならない」、「常識はずれ」、「法外」、「異常」や「非常」などの言葉もある。

 

少し前までは、「規格外」という言葉もむしろ残念なニュアンスで使われることが多かった。

前提として正しい「規格」というのがあり、そこから「外れ」てしまった不良品・・・というのが規格外なのだ。

だから「規格外品」と言えば、JIS規格などのルールで定められた許容範囲に届かなかった「落ちこぼれ」だ。

 

日本を離れて英語の言葉を探ってみると、規格外はイレギュラー (irregular)という単語に訳されるようだ。

「イレギュラー」も、不ぞろいに乱れているニュアンスがあって、どちらかというと「普通より劣っている」ときに使われることが多い。

もちろん優れた方向・中立方向にも使われることがある。

けれど「irregular breathing」だと、ランニング後などの「乱れた息」になるし、「irregular behavior」だと「だらしないふるまい」になる。

規格外の地位向上

ふたたび日本語に戻ろう。規格外に近い言葉として「法外」がある。法の外だから「法外な請求」みたいに「不正な行為」というニュアンスが含まれる。

法も規格も、あるべき正しい姿が本来で、そこから外れたものは「悪いもの」という意識があるのだろう。

 

しかしながら最近は「規格外」が良いニュアンスの方のグループに加わったようだ。

おそらくマンガやラノベあたりの作中で「並外れ」の代わりに「すごい」ニュアンスを強調するように使われだした影響が大きいのではないだろうか。

あるいは「規格」というものが必ずしも正しいものとは限らない。そんな意識が若い世代にあるのかもしれない。

 

「とてつもない」も、途轍とてつとはレールのことで、レールから はみ出て収まりきれないという意味だから、正しくあるべき”普通”の道を外れた、悪い意味で使われてもおかしくない言葉だ。

しかし実際には、ほぼ中立か、じゃっかん良いニュアンスで使われているように感じられる。世間はレールってのを思った以上に窮屈に感じているらしい。

規格外のポテンシャルはこんなものじゃないっ!

さて、せっかくの良いグループ入りした規格外なのだけれど・・・少し残念なのは 、単に「普通じゃなくすごい」というニュアンスだけで使われていることだ。

「規格外の主人公」と言えば、常識はずれに強いイメージばかり。でもここまで語ってきたとおり、規格外という言葉はもう少し深い。

 

「規格外野菜」という言葉がある。野菜というのは「見た目」で規格が決められており、その基準から外れた野菜は問答無用で「くず野菜」としてゴミのような値段になってしまう。

だが決して、味では劣ってはいない!

・・・そう、これって中二病的には、すごくそそられるシチュエーションじゃないか。

 

この「普通じゃなくすごいのに、普通じゃないがゆえに正当に評価されない」ってニュアンスをもっと活用してほしいのだ。

杓子定規なルールで「落ちこぼれ」と決めつけられるが、実はその「規格になじまない」ことこそが非凡な才能の現れであった。

大活躍の後に外野が「ああいうやつを規格外って言うんだな・・・落ちこぼれじゃない。普通の枠じゃあ測れないんだ」とかつぶやいてほしい。

あるいは主人公に

「この学校では評価されない項目ですからね」

さすおに

なんて語らせたいのだ。

クリエイターの人、ぜひよろしくお願いします。

※画像は「魔法科高校の劣等生 (佐島勤、石田可奈)」 より。

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