このブログでは毎度のようにIT技術者不足を叫んでいる。
それは当ブログ管理人が現実で技術者の確保に苦労しているという実体験からの叫びである。
事実、日本では技術者の総数がほとんど変わらない(10年間で3%増)というのに、アメリカでは5年間で20%!も技術者が増えているらしい。
確かに、それぐらいでないと今後の需要増には間に合わないだろう。
これからの世界でITを武器に戦おうと思うなら、日本も、もっともっと本腰を入れてIT技術者の確保に動かないといけない。
単価上昇中
さて前置きはここまで。
おかげさまでリーマンショックの影響も今や皆無と消え、開発のお仕事の引き合いも去年あたりから相当増えてきている。
そんな状況なので当ブログ管理人は常に人手を探している。弱小なのでお金をかけて探すことまではできてないが。
そうして技術者を探していると実感するのだが、ここ最近、少しずつ技術者の単価が上がってきているようだ。
去年も仕事の話は多かったが、まだ単価は落ち着いていた。
そこから1年たって、ようやく単価が動いてきだしたということだろうか。
直近の案件で、協力会社さんと話をしたときの単価相場は以下のような数字だった。
ソフトウェア開発エンジニア
- 一般エンジニア:時給5000円~。(人月単価80万円~)
- 上級エンジニア/SE:時給6000円~。(人月単価96万円~)
- スマホアプリ開発エンジニア:時給5500円~。(人月単価90万円~)
ウェブ系
- ウェブデザイナー(HTMLコーディング可の人):時給3500円~。(人月単価56万円~)
- PHP系/サーバ開発エンジニア:時給4500円~。(人月単価72万円~)
これが2017年7月現在の筆者のまわりの単価である。おそらく2018年にかけて、さらに少々アップするだろうと思われる。
ちょっと前までは時給にして上記より500円ほど安くても探せばそれなりにいい人が見つかったのだが・・・今はそういう人は真っ先に他所が確保している。ゆえに単価を上げなければ、話も聞いてもらえない状況になりつつあるようだ。
ちなみに上級エンジニアというのは機能設計も対応してくれるベテランのことである。SEと呼ぶこともあるが、個人的にはプログラムも設計も両方を高いレベルでこなせるのが上級エンジニアだと思っている。
そういう人なら、こちらとしては丸投げできるので大変ありがたいのだ。
単価が高低する理由
当然ながら上記の数字はざっくりしたものである。技術者の知識・経験・技術レベルによって単価は上下する。
が、この頃はこれ以下だとほとんど人が見つからないようになってきた。実質このあたりの数字が、ちゃんとした技術者を雇える最低ラインになるだろう。
たとえばウェブデザイナーの人とかは、もっとびっくりする安い単価を示す人が希にいるが、話を聞いてみれば実績が少ない新人だったり、最新の技術やモバイル対応とかが弱い人だったりする。
上記の数字より低い条件の人は、なぜその単価なのかしっかり確認してから契約しないと後で「安物買いの銭失い」になりかねないので要注意である。
正直なところ技術者のレベルがピンからキリまであるのだから、単価もそれに応じてピンキリだ。
だから上記の数字は、筆者が「まともなフリーランス技術者」を雇う上での参考価格ということでお願いしたい。
また、筆者は大阪市内を中心に関西一円で活動している。
したがってこれらの数字は関東だと、さらに1~2割ほど高くなるだろう。
逆に京都や神戸、その他の地方に行けば1割ほど安くなる。
さらに、先ほどの数字はフリーランスの人の単価のつもりで書いたが、これが法人相手だと、もっと高くなることがある。
もし法人相手に仕事を頼むなら、だいたい3割前後の上乗せは覚悟したほうがいい。
大手だと平気で1.5倍、2倍の単価になったりするのだ。
もちろん小さい会社だとフリーランスより安い数字を出すところがあるが、そういうケースは希なので期待しない方がいいだろう。
結局は以前の”フリーランスの相場”の記事で書いたとおり、目で見える数字以外の隠れたコストがあるから、その技術者の年収×1.5倍~2倍をもらわないと会社としては赤字なのだ。
単価に迷ったときは、そのあたりを計算してみるといいだろう。
ちなみに・・・
筆者の聞いた最高の単価は1人月300万円だった。かなり専門的かつ特殊で限られた分野だったので、その会社に頼むしかないためその金額でも引き合いは常にあるらしい。
1ヶ月で300万というと、働いている人はものすごい高給取りに思えるが・・・聞いた限りでは、専門的かつ特殊なスキルを持つその技術者の手元に入る金額は1/4程度だそうな。
それでも十分すごい。でも何だか理不尽さを感じるなあ。・・・と、いう話である。
単価の二極化
日本における技術者不足の状況は、経済産業省の見積もりによればあと10年以上は続く。それどころか需給ギャップはますます増え、技術者の奪い合いになっていくだろうということだ。
そうすると、これからまた新たなリーマンショックでも起きない限り、この先の10年では技術者の単価上昇は避けられないものとなるだろう。
その一方で、進化の激しいIT業界であるだけに、そのスピードについて行けない技術者が置き去りにされていくだろう。
その結果、起こるのは「単価の二極化」ではないかと筆者はにらんでいる。
良い技術者はますます奪い合い、一度確保したら他所に渡さぬよう囲い込まれるだろう。
そうして単価が急激に上がっていく。
そうでない技術者は、最新の要件についていけないため、増える需要に対処できず単価の上昇は緩やかになるのではないだろうか。
結果として、良い技術者とそうでない技術者の間の単価のギャップが広がっていく。
筆者はそう未来予測している。
これからの時代、単価が安い技術者を「お得」だと考えてはいけないのかもしれない。一見安い技術者には一層の注意と警戒を払わなければ、しっぺ返しをくらう時代になってくるのだ。
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