エクセルで会計年度を計算する(ワンライナーで簡単!)

技術・開発

Excelスペシャリストの皆さまに、ちょっとした日付変換のテクニックを紹介させてください。

会計年度の計算って皆さんどうされていますか?
残念ながらExcelの関数には一発で取れるものがないので、MONTH()で3月なら~等と計算式を書かれてますよね。
ですが今回のテクニックを使えばワンライナーで、簡単に会計年度を計算できますよ。

エクセル帳簿を活用されている経理の皆様や経営分析で高度なデータ解析をExcelで行っている方なら、このテクニックは特に興味深いものにるでしょう。

日付変換の必要性

通常、1月1日から12月31日までを1年とするのが「リアルイヤー(実際の年)」ですよね。
でもビジネスの世界では、4月1日から翌年の3月31日までを1年とする「ファイナンシャルイヤー(会計年度)」がよく使われます。

このリアルイヤーからファイナンシャルイヤーへの日付変換が、データの整理やレポーティングでしばしば必要になるのです。

特にエクセルでは変換式があちらこちらのセルに入ることでしょう。だからこそシンプルな変換ロジックがありがたいと言えます。

※この記事は SQLで会計年度を計算する(ワンライナーで簡単!) のエクセル関数版です

ワンライナーで普通に解決

Excelには非常に強力な日付関数がいくつもありますので、まずはその中から DATEYEAR、そして少しの算術演算を駆使して、この問題を解決してみましょう。

=YEAR(DATE(YEAR(A1), MONTH(A1) + 9, DAY(A1))) - 1

このExcelの式を詳しく見ていきましょう。A1セルにはリアルイヤーの日付が入っているものとします。

  1. YEAR(A1): 入力セル(A1)の年を取得。
  2. MONTH(A1) + 9: 入力セル(A1)の月に9を加えます(これがSQLの interval 275 day 相当です)。
  3. DAY(A1): 入力セル(A1)の日をそのまま使用。
  4. DATE(...): これらの値から新しい日付を作ります。
  5. YEAR(...): そしてその新しい日付から年を取得。
  6. - 1: 最後に1を引きます。

これはこれで良さそうです。しかしもっとシンプルな解決方法があるんです。
それを次の章で解説します。

ワンライナーで「芸術的」に解決

最もシンプルで、神秘的に美しい変換方法を以下に示します。

=YEAR(A1 + 275) - 1

このExcelの式を順を追って解説していきます。

  1. A1 + 275: 入力セル(A1)の日付に275日を加算します。
  2. YEAR(...): 加算した日付から年を取得。
  3. - 1: 最後に1を引きます。

さきほどの「普通」の例と比べても、びっくりするぐらいシンプルですね!

仕組みの解説

このExcelの式の要点は、A1 + 275 の部分です。
4月1日から275日後は、次の年の1月1日になります。そのため、275日を加えると、4月以降の日付は次の年に移動します。
そして、その年から1を引くことでファイナンシャルイヤーに調整されます。

うるう年は?

もちろんうるう年も対応しています。
なぜなら、うるう年かどうかで変わるのは1月から3月までの日数です。
4月1日から12月31日までの日数は、うるう年も、そうでない年も変わらず “275日” なんですね。

例で見てみよう

入力が 2022-04-15(4月15日)の場合:

  1. 275日を加えると 2023-01-15
  2. 年は 2023
  3. 1を引いて 2022 となり、これがファイナンシャルイヤー

簡単ですよね!最初の方法と比べて、たった1つの関数を使い日付型を数値にしているだけなので圧倒的に高速な処理になります。
帳簿やデータ分析のシートは関数が多用されて重めになりがちなのでシンプルであればあるほど嬉しいですね!

まとめ

Excelで日付変換を行う場合、高度な関数や複雑な計算は必ずしも必要ではありません。
最もシンプルなアプローチでも、必要な情報を効率的に抽出できることが多いです。

また、この式はレポートやダッシュボード作成においても便利です。
例えば、PivotTableでこの計算フィールドを追加することで、リアルイヤーとファイナンシャルイヤーを並列に分析することが可能です。
ぜひ皆様のエクセルブックに活用してくださいね!

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